今回は、日本初のダンス・ミュージックの国際カンファレンス&イベント「TOKYO DANCE MUSIC EVENT」(以下TDME)を企画・主催をした発起人の一人である、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ マーケティング戦略本部 柳井功治さんの物語です。
TDMEとは?
ダンス・ミュージックの国際カンファレンスというと、皆さんにとっては耳慣れないイベントかもしれません。海外ではマイアミの「Winter Music Conference」やアムステルダムの「Amsterdam Dance Event」といった、ダンス・ミュージックについての大規模なカンファレンスが盛んに行われています。日本にはまだ上陸していなかったものの、2016年と2017年に柳井さん達の企画により初めて、日本で開催されたのです。
「カンファレンス(国際会議)」、「セッションズ(音楽制作)」、「ライブ(音楽パフォーマンス)」の3つのプログラムで構成されるこのTDMEは、世界中の音楽関係者、DJ/アーティストをはじめ、レーベルや各種音楽サービス、マーケティング担当者、プロモーター、クラブオーナー、メディア関係者など、ダンス・ミュージックのビジネスに関わる様々な重要人物を世界各国から招聘します。EDMのみならず、テクノ、ハウス、ポップスを含む広い意味でのダンス・ミュージックの現状についての意見交換、最新のパフォーマンス、技術の体験を通して理解を深め、日本のシーンや音楽業界全体の活性化を目指す新しい試みです。
TDMEをなぜ始めたのか
日本ではまだ馴染みの薄い音楽系のカンファレンスですが、世界ではもう20年以上の歴史があります。世界最大のカンファレンス「Amsterdam Dance Event」はその一つです。
カンファレンスでは非常に真面目な討論がされ、様々なアジェンダ(検討課題)に対して、活発な意見交換がされる場所です。かつて日本にはそのような場はあまりありませんでした。
カンファレンスと合わせて世界中の有識者が集まり、知識やビジネスアイデアを繋げながら新たな事業を生み出すネットワークパーティーも盛んに行われています。
セッションのプログラムにおいては、世界で活躍する著名なDJなどから直接指導が受けることができます。最新の機材にも触れられる、若いアーティストにとってはこれ以上無いような機会も用意されてあり、素晴らしい出会いの場になっています。
TDMEへの想い
私自身がダンス・ミュージック好きで、昔はブレイクダンスなど、欧米のダンスカルチャーにはまっていました。
しかし今の日本では認知度の割には、まだまだダンス・ミュージックの地位が低いのが現状です。ダンス・ミュージックの市場を更に拡大していくためには、日本社会における地位の向上が必要であると考えています。
海外の例を見ると、ダンス・ミュージックの先進国オランダでは、オランダ国王即位イベントでDJのアーミン・ヴァン・ブーレンがプレイをしたり、記憶に新しいところでは、平昌オリンピックの閉会式で、DJのマーティン・ギャリックスがプレイをしていたりと国内は勿論の事、世界中が注目をするナショナルイベントでダンス・ミュージックのDJを起用しています。しかしながら日本ではそういった国際的な式典でダンス・ミュージックのDJが起用されるのは非常に稀です。
グローバル・マーケットの実情を知り、世界各国との繋がりを深め、日本のダンス・ミュージックの地位向上、その先にあるダンス・ミュージック・マーケットの拡大を目指すべく、TDMEを開催しました。
(後半へ続く)