毎日スマホやPCを開き、まるで息をするかのように触れているネットの情報。
何気なく見ているその情報の奥には、
どんな作り手の想いがあるのか、想像してみたことはあるでしょうか?
「良質な情報を集約・発信する、メディアのターミナルになることを目指します。」
そう語ってくださったのは日本最大級の規模を誇るキュレーションアプリ「antenna* 」を運営する、株式会社グライダーアソシエイツ上席執行役員CMO山口翔さん。
「TOKYO* LIFE」というオシャレでスタイリッシュな生活に役立つ情報配信をテーマに、毎日更新されるキュレーションアプリ(※)であるantenna* 。
そのantenna* の若きキーパーソンが語る、キュレーションアプリの目指す未来とは。
(ライター 伊藤洋輔)
ココロうごく。キッカケとどく。キュレーションアプリ「antenna* 」
antenna*は2012年に生まれ1日約1,500コンテンツの情報配信をしています。雑誌やテレビなど良質なメディアとの提携は350以上。キュレーションアプリの先駆けとなり、常にアップデートされています。
—antenna* と言えば、生活のためになる情報のコンテンツの質の高さが特徴的だと思っています。それを保つためにどんな施策をしているのですか?
山口さん:いまスマートフォンで探して目にする情報は、質の低いフェイクニュースから、質の高いものまで玉石混交の情報が溢れています。そのためantenna* 内部では質の高い情報をユーザーにマッチングさせるために、さまざまな指標を持って、良いコンテンツを選別しています。ひとつひとつ丁寧に見定めていますね。
株式会社グライダーアソシエイツ上席執行役員CMO山口翔さん
兵庫県宝塚市出身、神戸大学工学部建築学科卒業。学生時代に起業の経験もあり、株式会社マクロミルに入社。インターネットリサーチの広告営業を2年間経験した後、人事部にて新卒採用を担当。入社5年目にしてキュレーションアプリantenna* の広告事業立上げにメンバーに抜擢され、現在CMOを務める。
日本最大級のキュレーションアプリantenna* 立上げ秘話
—山口さんがantenna* に関わるきっかけは何だったのですか?
山口さん:新卒採用でプロジェクトを立ち上げ、軌道に乗ってきた頃に「メディアを作ってその広告メニューを作って売りなさい」という辞令でした。社会人5年目にして、数名の先輩方と一緒に事業を立ち上げるという、初めての経験でした。
—山口さんがantenna* 事業に参加されたのが2014年4月のこと。まさにこれから世にキュレーションサービスが沢山出てくるというタイミングだったのですね。
山口さん:グライダーアソシエイツはantenna* への広告出稿をいただくことによる、広告販売のビジネスモデルがメインです。今でこそ、沢山の広告主から出稿を頂いていますが、その当時はどうしたらメディアとして選んでもらえるのか、メディアとして生き残れるのかが分からなくて。クライアントをはじめ色々な方へ「どんなメディアが成功するのか」を自ら聞いて回っていました。
—実際にどんな声をいただいたのですか?
山口さん:私的に印象深い回答が【社員の方の想いがあるメディア】という回答でした。少ない人数でもantenna* は社員一人一人が、「antenna* はメディアのターミナルになる」という強い想いを持っていたので、そのまま邁進しようと決心しました。
メディア戦国時代におけるantenna* が目指す「Terminal of media」
—「コンテンツのメディア」でなく「メディアのターミナル」を目指すということですが、具体的にはどういった施策なのでしょうか?
山口さん:読者が欲しい情報とメディアが届けたい情報をマッチングさせるような、メディアのターミナルとなるべく「Terminal of media」というビジョンを掲げました。キュレーションの未来を語る前に、過去を見直してみると、2016年には「記事の盗用」や「記事の無断のまとめ」が大きな社会問題になりました。
—大手のメディアがこぞって対策をしていましたね。
山口さん:antenna* ではこの問題が起きる以前の2015年に、前述した内部の30余りの基準に基づき、質の担保に努めてきました。全体の利用数が一時的には落ちても、質の担保がユーザーやメディア、広告主への信頼に繋がると判断したからです。
—問題が表向きになるもっと前から、質にこだわっていたのですね。
山口さん:その想いが【強いメディアが生き残る】という事にも繋がっています。これまでに大きなアップデートを7回実施していますし、目の前の問題を早期に発見し、アップデートすることが未来へ繋がると思っています。
—ユーザーとメディアのことを一番に考えたサービス作りこそ、キュレーションサービスを牽引してきた理由かもしれませんね。
山口さん:今はスマートフォンが当たり前の時代です。しかし、10年、20年前に今の状況を予見できた人がどれだけいるでしょうか? もしかするとこれから、情報を受け取るメインデバイスはまた、変わっていき、5Gの更なる高速データ通信時代では、ARやVR、動画といったコンテンツが当たり前となっていくと思います。ただ、その中で「キュレーション」という役割自体は無くならず、むしろより重要性が増すと考えています。
—そこに「Terminal of media」の新しいカタチがあるのですね。
山口さん:そうですね。antenna* では「Terminal of media」を前提に、アプリにこだわらなくていい、リアルな場所との提携や、antenna* の資産を活用できるようなクロスメディア的な取り組みを推進しています。実際の店舗で一緒にイベントを開催したり、提携のメディアと立体的なプロモーションを展開したり、アプリという場所を飛び越えて、皆さんに情報を提供し続けていきます。
【antenna*と他企業のコラボレーション事例】
「後悔のない人生を」生きることを実感しantenna* 事業に込める想い
—山口さんのその仕事に対するまっすぐな想いは、どこからきているのでしょうか。
山口さん:実はantenna* に関わり始めた同年9月、くも膜下出血で倒れてしまったのです。非常に危険な状態から、奇跡的に後遺症もなく1ヶ月という期間で退院を果たしました。その際に病棟で様々な思考を巡らせていました。
新卒採用をやっていた際、長期採用を前提にしていたため、「5年後、10年後、自分がどんなことをやりたいか?、それが会社のビジョンとすりあっているか?」これが最も大事なことだと当たり前に思ってました。でも、本当にそれだけなんだろうか? もしかしたら5年後いや明日、死んでしまうかもしれないのに…今、本気で捧げるものを大事にしたいと思ったんです。
—そうだったのですね…ご無事に回復されて何よりです。最後にアシスト読者に向けて、メッセージをお願いします。
山口さん:お客さまも含め、周りの支えを痛感し、お返しをしたいという気持ちが湧いてきました。一緒に働く仲間や、同世代の仲間にも「自分の意思で、今の場所を選んでますか? 」ということを伝えたいですね。「明日やろうは馬鹿野郎」という言葉もありますが、人生一度きり。後悔のない人生にしようというところでしょうか。
—山口さん、ありがとうございました。