日本、そしてアジアマーケットの現状
日本はアメリカに次ぐ、世界第2位の音楽マーケットだということは知っていますでしょうか?
それでもなお、日本の音楽シーンは世界とは別のトレンドで動いており、パッケージのシェアが約80%、邦楽の割合が90%近いという特異なマーケットです。そんなマーケットでアーティストをブレイクさせる術を世界中のアーティストや音楽関係者が常に模索しています。
日本には優秀なクリエイターも多く、欧米のエージェントは興味を持っているもの現状です。日本のマーケットの実情を海外へ伝え、同時に日本の優秀なクリエイターが世界へ進出するサポートも出来ればと思っています。
更に欧米のシーンが成熟している今、世界の注目がアジアに集まっています。
タイ、シンガポール、中国では巨大なフェスが多く開催されており、タイのS2O Songkran Music Festival、シンガポールのzoukOutやIT’S THE SHIP!, 中国のStormなどがその代表例です。
2016年のTDMEでは、S2O Songkran Music Festival、IT’S THE SHIP!それぞれの代表にご登壇頂き、今のアジアのフェスの現状を語って頂きました。
エンタテインメントとしての、ダンス・ミュージックの未来
こうした現状の中、世界のトレンドにアップデートしつつも、日本の良さを活かした上で市場の活性化を図る必要があると考えています。
東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、より国際化や様々な規制の緩和が進むことは間違いがありません。しかし、海外から日本に来る富裕層が楽しめるコンテンツが少ないのも現状の課題です。
例えばラスベガスなどはエンタテインメントシティとして、行政と地域が一つとなってそのコンテンツを生み出していますね。
日本も風営法の改正により、クラブ文化も更に活性化されつつあります。
TDME開催にあたっては、ファッション、フード、ナイトクラブなどの文化のある渋谷で、渋谷区にもご協力いただき開催をしました。
カンファレンスというものに対しての認知が低い中、その必要性を説くことは第一に重要でした。
さらにオープンに多くの人を巻き込みながら、一般層へも興味を持ってもらえるようなコンテンツ作りには大変苦労をしました。
カンファレンス、セッション、ライブの3つのどのプログラムにしても形にして、意図したことが皆に届いたと実感した時は、とても嬉しくやりがいを感じましたね。また、BOILER ROOMやAbleton等のワールドワイドなブランドとのチーム・アップや日本初となるSpinnin’Sessionsを開催できた事は大きかったです。
海外の音楽シーンはジャンルレスで、それぞれをクロスオーバーさせて楽しむのが主流です。
一つ、一つは小さいマーケットでも、競合を排除するのではなく、クロスオーバーさせ、作り手の自己満足にならないものを繋げていきたいですね。
遊べ!若き世代へのメッセージ
仕事でもプライベートでも同じだと思いますが、人の心を動かす時は自分の好きな事・熱くなれる事の熱量をいかに下げずに多くの人にその魅力を伝える事が出来るかが重要になってくるかと思います。
遊びから学べる事も多いので、どんどん遊びに出て色々な人とコミュニケーションを取って欲しいですね。
ビジネス・スキームや事業計画等も勿論大事ですが、瀬戸際でキーになってくるのはその人の人間力だと思います。ビジネス・スキルは後からついてくるので、まずは若いうちに魅力的な人間性を築いて欲しいです。
その上で、自分の好きな事のマーケットやトレンドへの理解を深め、自分なりに噛み砕いた上でアウトプットをする事が大事になってきます。ごく一部の天才を除いて全くの0からクリエイティブなヒット作を生み出す事は至難の業だと思います。最初は模倣でも良いので、そこに自分らしさとかオリジナリティーを盛り込めれば唯一無二のものを作り出せるはずです。失敗しても良いからチャレンジする精神を身につけて欲しいですね。
当たって砕けて、遊びまくれ!
■あとがき
今回も前回に引き続き、音楽シーンを牽引する方へのインタビューとなりましたが、印象的だったのは、ジャンルレスやクロスオーバーと言った共有・共存の思想と、本当に好きなことを仕事にしている、という点でした。これからも、どんどん好きな事を仕事にして行く人が増える世界になるだろうと確信をしました。