新卒から挑み続けた高い壁、小さい証券会社が世界のヘッジファンドを扱うまでの軌跡。エアーズシー証券株式会社

「みんな平等でいようとするんですけど、経済は残念ながら平等ではありません。
みんな何 かしらの差を受け入れた上で行動しているんです。」

創業17年を迎えたエアーズシー証券株式会社の代表取締役、
栗原友紀さんは新卒から現在に至るまで、証券市場の最前線で仕事をされてきました。

ブラックマンデーからのバブル崩壊など、激動の時代を過ごされてきたひとりでもあります。
エアーズシー証券株式会社は、⻑期投資に適した外国籍のヘッジファンドを、日本国内の 投資家に提供しています。

証券の世界で⻑年、大手のパワーに負けることなく試行錯誤し続けた栗原さんが、ようやく辿り着いたステージとは。


エアーズシー証券株式会社 栗原友紀代表取締役
HP:http://www.airssea.co.jp/company/

「実力で戦いたい」大手でなく小規模の証券会社へ、実感した 越えられない壁。

ー新卒で証券会社に入社されたそうですが、大手でなく小規模の証券会社を選ばれたそうですね。

大学では証券のゼミで勉強していました。同時に自身で株を買ってみたり、担当者と話をし ていたのもあって、大手の証券会社の情報はなんとなくわかっていました。同期が大手を選んでいくなかで、あえて小さな会社でいろんなことを経験して、実力で戦っていこうと考えていたんです。
実際に証券会社で働いてみると「場立ち」と呼ばれる、リアルな取引の現場 をみることができて刺激を感じました。株価が決められていく様子を生身で感じていくなかで、ひとつの超えられない壁を目の当たりにします。
株式市場で多額の注文を取り扱う大手に対して、私たちのような小額の注文を取り扱う会社はどうしても不利な状況でした。証券市場においては、規模も人材も違う会社では、平等に戦うことすらできないという現実を突きつけられたんです。

ー証券取引市場で不利になるということは、顧客に対してもいい商品を紹介できないということでしょうか?

そうですね。まず小さな証券は会社を信頼していただくハードルが高いです。お客様はリスクをとって決断してくださるものの、大手には敵わないサービス量の差に、⻭痒く苦しい思いをしました。何事も世界は平等にできていると教えられてきましたが、ここに来て「経済は平等ではなく、差があるもの」だと実感させられたんです。自由なようにみえて、自由ではない状況に、じゃあどうしたら自由にやれるんだろうと考えるようになりました。

バブル崩壊、苦悩の連続

ー栗原さんはバブル崩壊も経験なさったとのことですが、どのような影響がありましたか?

ちょうど新卒で入った会社で、新しい支店に移動した時でした。ブラック・マンデーと呼ばれて株価が大暴落したんです。大勢の投資家が大損する悲劇でした。その後バブルが崩壊して、証券会社は手も足も出せない状況だったんです。株価がどんどん下がって金融機関が売る商品は全てダメになり、金融関係の会社もどんどん破綻していきました。

そんな環境下でも自分たちの会社を存続させなければならないですし、営業ノルマもあります。結局は利益が出る見込みが薄い商品でも、売るしかなかったんです。なんとか理解していただいて購入いただくも、心に引っかかるものがありましたね。当時は「証券会社のいうこと聞くと、お金がなくなる」とまで言われていました。誰かの役に立とうと思って頑張っているにも関わらず、どんどん違う方向にいってしまう状況は、本当に苦しかったです。

ー苦しい時期を乗り越えて、次のキャリアはどのように考えてましたか?

証券で働く人たちのキャリアに「歩合外務員」という選択肢があります。証券会社で10年経験を積むと、会社のお客様のみでなく、自分のお客さんに対して自身の判断でアドバイスできるようになるんです。自分で結果を出さなければならないので責任も成果も問われますが、自分のお客様のためだけに仕事ができる環境を手に入れることができました

歩合外務員からの独立、自由化と規模の壁。

ー歩合外務員も10年勤められたそうですが、その10年はどのような10年でしたか?

バブル崩壊が落ち着いて株価も安定してくると、ようやくお客様にも喜んでいただけるようになりました。経験を経て、ようやく証券のエキスパートとして自信を持って仕事ができるようになってきたんです。

ところが今度は日本の金融の法律が変わり1999年に「手数料自由化」が施行されました。 顧客が証券会社に株式の売買を委託する際に支払う手数料が自由化されるようになったのです。大手が手数料を下げて安く売りはじめたおかげで、手数料で売り上げを立てていたビジネスモデルが崩壊しました。これまでやってきたことが成り立たず、またもや規模が小さなせいで勝てない状況に戻ってしまったのです。

ーそこから理想を現実にしていくために、会社を立ち上げられたのですね。

そうですね。初心に立ち返って、お客様が望む商品を提供できるように、自分で会社を作ろうと思いました。そして自分の会社で「ヘッジファンド」を専門に扱おうと思ったのです。 ヘッジファンドは市場の動きに関係なく、一定の利益を安定的に確保することを狙うファンドです。株価が暴落しても安定した運用が期待できる一方で、最低投資金額の高さや、国内での販売に関する法律の問題などがありました。ヘッジファンドを扱いたいと思っても、世界のヘッジファンドのトップは最低投資金額が100億円からしか受け入れてくれないような規模なのです。できたばかりのベンチャーの証券会社が取り扱うには、あまりにもハードルが高く、そこでもまた規模の差を感じました。

世界有数のヘッジファンドとの出会い

ーベンチャーと大手、バブル崩壊、そしてヘッジファンド設立においても規模の壁と戦われたんですね。

ずっと大手と比較して「自分たちには何ができるのか」を考えてきました。その度に、初心に戻って「お客さんにとっていい商品を売るしかない」という結論に行き着くんです。他の証券会社が持っている商品を扱うのではなく、うちの強みを出していくためにはどうしたらいいのか…不思議なもので、こうして考えていたらご縁をいただくようになったのです。

世界でも有数の資産を運用しているアセットマネジメント会社から「日本でヘッジファンド を売ろうと思ってる」という話があり、海外のファンドとのコネクションができたんです。 相手にとっては日本でいちから立ち上げるよりも、すでにあるプラットフォームを使った方 が早いというメリットがありました。うちにとってはヘッジファンドの問屋のような存在になれる大きなチャンスだったんです。

ー小さい証券会社がヘッジファンドの問屋という立ち位置になるには、どのような強みがあったのでしょうか。

私たちには「今まで手の届かなかった商品も、一般の人たちでも買えるようにしたい」という考えがありました。その思いも通じて、海外では最低100万ドル以上からしか買えない商品を、日本円で1000万程度から買えるようなスキームを可能にしてくれたんです。海外 のヘッジファンドを日本で売ることも、弁護士の力を借りて、ファンドの内容を精査し金融庁に届け出をするなど、手間と時間がかかります。そういうことをやっている日本の会社は少ないので、私たちはそれをやり遂げて展開しようと思ったんです。
日本の大手で受け入れるには規模感が合わなくても、うちのような小さな証券会社であれば、ニーズに応えられる。大手のように大量に売ることはできなくても、少量でも⻑期的に売ることができれば、ビジネスとして成立するという強みに気づきました。

ー⻑い年月をかけて、ようやく栗原さんの理想の商品をお客様に届けられるようになったんですね。

ようやく整って、10年以上、毎年のパフォーマンスが(年ベース)で一度もマイナスが出ていない素晴らしいファンドを扱うこともできました。新卒で入った頃から、大きく時代の変化がありましたが、ようやくお客様本位の金融商品を提供することができています。まだまだ道半ばですが、弊社の企業理念である「金融商品マーケットに変革を起こす」を目標に、とにかく地道にやっていこうと思います。

今年は「金融サービス仲介業」が新しく創設され、金融の法律も範囲を広げ、金融サービスを多方面から提供する体制が整います。いい商品を売ろうとすると法律の壁にぶち当たるジレンマもありますが、そのような中でうちはIFA(金融商品仲介業)というお客様の立場に立って運用をアドバイスする専門家と共同し、高度な商品を販売していく方針を貫いていきます。短期的な運用の視野ではなく、お客様の人生設計、ご家族の将来計画を踏まえた⻑期の資産運用を提案し、当社はその預かり残高での報酬で経営を安定させるという、お客様との利益を同じくした、健全な経営への挑戦です。

若い世代が投資で気をつけるべきこと

ー証券の世界も⻑年の中で大きく変化してきたと思います。一般の方も投資をすべきだと思いますか?

そうですね。僕らの時代は金利が6%もあった銀行貯金で十分だったんです。何を考えなくても生きていけました。ところが今やその金利もおよそ0.002%という現実で、貯金以外の選択肢を考えないと生きていけない時代になりました。知識を身につけて、資産設計をしなければならない時代になったんです。

ー若い頃から投資の最前線で奮闘されてきましたが、20代で投資を考えてる人たちにアド バイスはありますか?

きちんとした情報をとってほしいと思っています。人から聞いた情報だけでは不十分です。 自分で裏付けをとって納得したところで、はじめて「情報」と言えることができます。一番怖いのが、人から聞いた話で儲かってしまったケースですね。安易な成功は学びがなく、 次の失敗に繋がってしまいます。

投資の世界でみんなが儲かるなんて話は、全くの幻想です。失敗しても誰も責任をとってはくれないので、失敗しても次に繋げるために、納得して行動することが必要だと思っています。 そのためには、高度な知識を持ち利益の相反しないアドバイザーの意見が重要です。 現在整備されているIFAと言われるアドバイザーは、これから資産運用を考える若い人たち にも、大変有効なアドバイザーだと思います。 欧米においては、このIFAのアドバイスによる資産運用が主流化しつつありますので、皆さんもIFAのアドバイスを受けながら勉強し、ご自分の投資スタンスを若いうちから確立して いくことをお勧めします。


エアーズシー証券株式会社 栗原友紀代表取締役

HP:http://www.airssea.co.jp/company/

 

ABOUTこの記事をかいた人

ASSIST編集長

「20代ビジネスパーソンのリアルASSIST」新しい時代の働き方をテーマに、20代ビジネスパーソンの人生に刺激を与えていくようなコンテンツを配信。 次世代リーダー・仕事イケメン・キャリア美女・複業パラレルワークの4つのカテゴリに当てはまる、ビジネスパーソンのインタビューマガジンとしてHOTな記事を皆様にお届けしていきます。