芸能人として、きらびやかな世界から一変、実業家としての一面がクローズアップされつつあるカラテカ入江こと、入江慎也さん。芸人時代は「友達5000人芸人」の愛称で親しまれ、培ってきたコミュニケーション術『後輩力』を提唱されていました。
芸能界を離れ、1年間のアルバイトを経て立ち上げたのは、清掃業を行う「株式会社ピカピカ」。
現在は大阪・千葉・神奈川・名古屋に支店を構え、全国展開を目指しているのだそう。
そんな株式会社ピカピカに2021年の夏、新メンバーが2名加わったとのこと。なんと採用のきっかけはYouTube。入江さんが社員さんとどのようなチームワークで経営をしているのか、話を聞いてきました。
中央:入江慎也さん
左:比嘉辰仁さん
右:三浦孝太さん
株式会社ピカピカ:https://pikapika.co.jp/
(インタビューアー・編集 とりっすー)
「とにかく焦っていた」時給1100円のアルバイトを経てピカピカ起業
とりす:
芸能界を離れてから、おそうじ本舗でアルバイトされていたとのことですが、清掃業での独立は最初から視野にあったんですか?
入江さん:
ありました。これまでもずっと何かに挑戦するときは、ゴールを決めて行動していたんです。飲み会ひとつでも「この番組に出るために頑張ろう」アルバイトをするなら「アルバイト芸人というキャラになろう」という感じで。
それもあって経験を積んで、2ヶ月くらいで独立しようと考えていました。
とりす:
2ヶ月って、だいぶ早いタイミングで考えてたんですね。
入江さん:
今となっては短期的な発想だと思うのですが、自分のせいでたくさんの方にご迷惑をお掛けし、人生を変えてしまったので、とにかく焦っていて……
どうすればまた社会に復帰できるのか分からず、必死だったんです。
とりす:
結果的に1年間アルバイトをされたそうですが、さらに経験を積もうと思われたんですか?
入江さん:
技術を修得するのも2ヶ月じゃ足りなかったですし、居心地もよかったので1年間勤めさせていただきました。自分がいることで、会社に迷惑かけてしまうんじゃないかと考えたりしたのですが……
とりす:
たしかにお掃除を頼んで入江さんがいたら、びっくりしますね。
入江さん:
そうですね、驚かれることはたくさんありましたが、温かい言葉を掛けてくださって、みなさん本当に優しかったんです。
その場では気づかないふりをしてくださって後日、Instagramのメッセージで「入江さんでしたよね?」と連絡をいただいたりもしました。
とりす:
想像以上に優しい世界だったのですね。アルバイトから独立されて、変わったことはありますか?
入江さん:
責任の重さも仕事量も全く違いますね。もちろん掃除でミスをした場合は、自分の責任ですし、これまで仕事先に行くのも運転してもらったけど、独立してからは自分で運転もします。
依頼をいただいて仕事ができるって、本当に幸せなことだなと身をもって感じていますね。
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社員がいる今でも、ほぼ毎日早朝から現場で一緒に清掃されています。
200万再生された「けいちょんチャンネル」から採用へ
とりす:
極楽とんぼ山本さんのYouTube「けいちょんチャンネル」に入江さんが出演されたのを見て、社員の応募があったそうですね。おふたりもその動画がきっかけだったと。
入江さんの大先輩である山本圭壱さんのYouTubeに2度出演。1度目は200万再生突破、2度目に社員募集をしたところ、応募が何十件もあったのだそう。
とりす:
芸能人のYouTubeをみて応募をするのも、勇気のいることだと思います。社員のおふたりは、どういうところに心を動かされたのでしょうか?
三浦さん:
僕は役者をやっていたのですが新型コロナの影響で仕事がなくなり、どん底にいた時期だったんです。何もすることがなくて、ダメ人間でした。そんな時期に、けいちょんチャンネルをみて元気をもらっていたら、入江さんが出演されていて。
ただただ感動したのを覚えています。
とりす:
そこから募集されてることを知って、突き動かされたと。
三浦さん:
「いま動かなければ、一生変われない。」と思って、入江さんのInstagramにメッセージしました。
入江さんと働けるのであれば、どんな仕事でもいいという気持ちでしたね。
入江さん:
三浦くんは芸能の世界の人だったので、社会経験が不足しているところも含めて気持ちがよくわかったんです。いま他の仕事に就いても、仕事をただこなしてしまわないかな、目的意識を持って働けるかなとも思いました。
コミュニケーションが得意そうだったので、本気でやったら向いてるだろうなと採用したんです。
比嘉さん:
僕は元々フリーターで職を転々としていて、名刺すらも持ったことがなかったんです。同じく動画をみて応募したんですが、オンライン面談をしてから一度お断りされていて……
諦めきれなくてもう一回、チャンスをくれないかと入江さんに連絡しました。そしたら試用期間でアルバイトからどうかと、一緒に働かせていただけることになったんです。
とりす:
どうしても諦められなかったんですね。
比嘉さん:
普段何かの動画をみて心が動くことってないんですが、人生で初めて動画で感動したんです。
何の偽りもない入江さんの真っ直ぐな姿に「入江さんと一緒に働きたい。」と衝動に駆られました。
入江さん:
比嘉くんは元々ラグビー選手で花園に行ってるのもあって、辛いトレーニングに耐えられるなら、どんなことでも頑張れるんじゃないかと思って。諦めない姿勢も嬉しかったですね。
一応、動画では「経験者募集」っていってたんですけど、ふたりとも全くの未経験で(笑)でも、そういってくれるならいいやと。自分も一緒に頑張ろうって思えたんです。
「やりがいの見つけ方」意外だった芸能と清掃業の共通点
とりす:
清掃という仕事は、決して華やかな仕事ではないと思うんです。地道だし汚れるだろうし、そこへの懸念はなかったんですか?
三浦さん:
僕は芸能界という特殊な世界で生きてきて、そこから清掃業界に来たので労働環境という意味においては、ガラッと世界が変わりました。最初は正直、軽い気持ちで清掃を始めたんじゃないかと思われてしまわないかなと……
三浦さん:
でも、全然そんなことありませんでした。もちろん入江さんの信頼があって任せていただいているということも大きいと思うんですが、これまでの仕事でお会いする方は、優しい方ばかりで驚きました。
とりす:
入江さんはアルバイト当初は「やりがいを探している」と仰ってましたが、いまはどう感じてますか?
入江さん:
今は各支店で事業が伸びていくことや、この2人の成長をやりがいに感じてます。2人がスキルアップして、お客さんの笑顔が増えていくのが楽しみです。
とりす:
清掃自体というよりも清掃業を通じて得られることに、やりがいを感じてるんですね。
入江さん:
仕事にやりがいを見つけるって難しく考えられがちですが、仕事の楽しみや好きなところを、ひとつでも多く見つけていくことだと思うんです。
人や環境のせいにして、その仕事に向き合うことを諦めると、好きじゃなくなるから。
三浦さん:
確かに僕も、清掃が好きっていうよりも、お客さんに喜んでいただけることや、入江さんと一緒に働けることが、やりがいですね。
清掃をしていて辛いと思ったことはないですし、誰かに感謝してもらえる仕事っていいなと思います。
社員からみた「カラテカ入江と働くこと」
とりす:
「カラテカ入江さんと働く」って普通に生きてたら、想像できない現実だと思うんです。おふたりから見た入江さんは、どんな上司ですか?
比嘉さん:
「こんなことまで、僕たちに話していいの?」ってくらいに、さらけ出してくれてびっくりします。
とりす:
というと?
比嘉さん:
仕事関連やプライベートの悩みもなんでも話してくださいます。ここまでさらけ出してくれる人に出会ったことがないので、自分も誠心誠意、向き合うしかないなと思います。
入江さん:
僕が心配性なのもあって、先に自分から弱さをみせるようにしてるんです。まずは自分が腹を割らないと、相手も心開けないので。
ふたりは「社員」というよりも「後輩」という感覚が強いんです。なので休日でも飲みに誘ったりもしますし、できるだけ多くの時間を過ごそうとしています。
比嘉さん:
僕もできるだけ近くにいたくて、事務所の近くに引っ越しました。別にそうするよう言われたわけではないんですが、入江さんとちゃんと向き合うために、そうしたいなと思って。
とりす:
すごい。強い信頼関係で繋がってるんですね。
入江さん:
人脈というものに頼った結果、たくさんの方にご迷惑をお掛けしたので、人の信頼を得ること、人を信じることは凄く難しいとことだと感じています。
でも常に僕の側で働いてくれる社員だけは、とにかく信じたいと思っています。信頼できると思った人に社員になってもらってますし……
とりす:
そう言い切れる強さは、どこから来るんですか?
入江さん:
仕事でもプライベートでも、全く人と関わらずに生きていくことは不可能だと思います。であれば、その関係性を少しでも豊かなものにしたいというだけなんです。自分から裏切るようなことは決してしませんし、たとえ裏切られてしまっても、それは僕に非があると受け入れる努力をします。
その責任も背負って、初めて楽しく生きていけるんじゃないかなって。
「一歩踏み出す勇気で人生は変わる」社員の挑戦が教えてくれたこと
とりす:
人生を変えてしまったと入江さんが思う過去がありつつも、こうして目の前のふたりの人生が思わぬ展開になってることが、なんだか感慨深いですね……
入江さん:
飛び込んでくれて感謝の気持ちでいっぱいです。先日、山本さん主催のフェス「けいちょんフェスティバル2021」があって、社員旅行としてみんなで、宮崎まで行ってきたんですよ。
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入江さん:
こんなに楽しそうな社員の姿をみて、僕が嬉しかったですね。ふたりの一歩踏み出す勇気が、自分たちの人生を変えてくれた張本人の山本さんと会うことに繋がったんだなって。僕自身が、行動する大切さに改めて気づかされました。
とりす:
めちゃくちゃ素敵な写真ですね。今後は全国展開を目指しつつ、他に挑戦したいことはありますか?
入江さん:
スポンサーを務められるほど会社を成長させて、人が集まる空間やイベント、舞台を作りたいです。もしそういう場所を作れたら、ピカピカで会場を磨き上げてお客さんをお迎えしたいですね。
今は僕ひとりの夢かもしれませんが、もし社員のみんなのやりたいことが見つかったら、その夢をサポートしていける会社でありたいですね。
インタビューの最中も、まるでコントのような軽快なやりとりを楽しませていただきました。どこまでもエンターテイナーな入江さんの人を想う力は、きっとこれからも多くの人を巻き込んで、笑顔を増やしていくのでしょう。
そんな入江さんが執筆された、家そうじの実用書が主婦の友社より発売されました!
汚部屋がピカピカになると世界が変わる! 業者の(秘)家そうじ
誰でもかんたんにできるお掃除テクニックを、入江さんが紹介くださっています。
年末の大掃除に役立つこと間違いなし!ぜひ手に取ってみてくださいね。
入江さん、比嘉さん、三浦さん、ありがとうございました!
入江慎也さん
比嘉辰仁さん
三浦孝太さん
株式会社ピカピカ:https://pikapika.co.jp/
(インタビューアー・編集 とりっすー)