大手IT企業から独立し、スパイスブランドを立ち上げー川辺 舞

プロフィール

川辺 舞
「ハッと驚くスパイス体験を」届けるスパイスブランド 「HATSPICE 」代表。
早稲田大学教育学部卒業後、大手IT企業に入社。
日本最大級の料理動画メディアを運営する会社に転職した後、スリランカへのスパイス留学を経て独立。
現在は都内にあるカレーシェアハウス「東京マサラ部室」にて日々スパイスの研究を行いながら事業に取り組んでいる。
日本の食卓の「さしすせそス」の実現をし、スパイスで人々の世界を広げることが夢。

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HAT SPICEについて

ハッと驚くスパイス体験を提供するブランド。
スパイスをもっと身近に感じてもらえるように、日常に取り入れやすいスパイスの商品開発、情報発信を行っています。
現在はお客様の声にお応えしてカレーのキットを販売していますが、今後はさらに人々に新しいスパイス体験を届けられるような商品を企画中です。

HATSPICE

この事業に至った経緯

独立した理由

幼少期からパソコンに触れて育ってきた私は、「自分が一生をかけても出会うことのできない数の人たちに繋がれて、国境も超えていくインターネット」に可能性を感じていました。そして、それを通じて世の中の人たちにプラスな影響を届けたいと思い、IT業界に飛び込みました。

しかし、大きな組織の中で、目の前の人のために動こうとしてしまう性格が裏目に出て、世の中の人たちのためではなく、上司や会社のために働いていると自覚してしまうことが多々ありました。そして、自分の存在意義を考える日々が続いていました。

そんな日常を変えようと、思い切って会社を辞め、自分の想いを自分のやり方で伝えていくための勉強をし、独立しました。

スパイス事業を選定した理由

幼少期はスパイスのない家で育ちました。
ニンニクも胡椒もない実家では、スパイスは「異国のもの」「臭いもの」という扱いを受けていため、私も「よくないもの」という印象をもっていました。
母親は料理が得意でしたし、自分自身食べることは好きだったのですが、スパイスは苦手でした。
大学入学を機に両親の元を離れ、バックパックを背負い世界を旅するようになりました。
それから、旅先でスパイス達に出会い徐々に魅了されていきました。一振りで料理全体の雰囲気を変えてしまう魔法のような力を持ったスパイス。辛いだけではなく、甘かったり爽やかだったり、たくさんの風味を持っているスパイス。土地どちの歴史食文化に関わり、知れば知るほど奥の深いスパイス…。その魅力を知るうちに、自分自身がスパイスに対して食わず嫌いだったというか、ネガティブな偏見のようなものを持っていたことに気がつきました。

「自分の中の常識にとらわれて、自分の世界を狭めてしまっていたなんて、本当にもったいない。」
スパイスを通じてそんなことを感じた私は、自分のように「ネガティブな偏見によって自分の世界を広げられずにいる誰か」が、一歩踏み出す背中を押せるような存在になりたいと強く感じました。

もしかしたら、スパイスを通じて「ハッと驚く体験」を届けることで、どこかの誰かが自分の中の固執した考えに気がついて、何かにちょっとだけ挑戦する未来が生まれるかもしれない。そんな風に世界に関われたら素敵だなと考え、HAT SPICEを立ち上げました。

事業を行う上で経験した苦悩や問題

「自分視点になりすぎない」という問題と常に向き合っています。
好きなものをビジネスにする、というのは聞こえはいいのですが、お客様視点を忘れないようにいつも意識しないといけません。「自分が好きで、自分が欲しくて、自分が知りたいスパイス」と、「お客様にとって喜ばれるスパイス」が必ずしも100%合致するわけではないのです。だからこそ常にお客様と対話をし、どんな風に感じるか意見を聞き続けています。

実は、今の事業の形に落ち着くまで、何度もメンバーを集めたり事業内容を変えたりしてきました。その中で、過労で倒れることもありました。その時は「自分が欲しい究極の商品」の開発に熱心に取り組んでいたのですが、熱量が違うメンバーとうまくいかなかったり、一人で10時間以上スパイスの調合をし続けたりしていました。でも、そうしてできた試作品を友人に試してもらったら、こだわりはほとんど理解してもらえず、思ってもいなかった改善点を指摘されてしまったこともありました。

今は、「お客様の視点を意識する」ことで、自分の立ち位置ー「スパイスオタク」で有ることーを認識しながら商品開発に取り組んでいます。あ、でも絶対に伝えたいことや譲れないポイントは持ち続けていますし、妥協はしていません!

サービスを通じて、伝えたいこと

私たちのスパイス商品に触れて、「ハッと驚く」体験をしていただくことで、自分の中の当たり前だと思っている考えや行動を少し変えてみようかなと思ってもらえたら嬉しいです。
「ハッ、スパイスってカレー以外にも自由に使えるんだ」
「ハッ、スパイスって辛いものの方が少ないんだ」
そんな風に感じる体験を通し、「もしかしたら、勇気を持って当たり前をちょっとだけ疑ってみたら、また違う世界に出会えるかも」なんて感じてもらえたら素敵だなと思います。

今後の発展

皆様にスパイスをより身近に感じていただき、日本の食卓の「さしすせそス」が当たり前になることを目指しています。
現在はお客様の声にお応えしてカレーのキットを販売していますが、今後はさらに新しいスパイス体験を届けられるような商品を企画中です。
SNSでもそのような情報発信を心がけていて、スパイス好きのコミュニティを作ったり、リアルな場でスパイスの魅力をあらゆる形で感じてもらえるようなこともやってみたいなと思っています。