元スーパーサラリーマンと現スーパーフリーランスが語る「資源を活かせない日本人が今やるべきこと」

あなたはいま、幸せですか?
2018年に国連が発表した「世界幸福度ランキング」で日本は54位。
先進国でありながら、幸せだと言い切れる人が少ない事実です。
不確かな世の中で希望を見出せない若者に、私たちは一人の偉人の言葉を届けたいと思い、この対談を企画しました。
「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」
ビスマルクが残したこの言葉は、混沌としている社会を生きる若者にとって、
大きな道しるべになるのではないでしょうか。
今回はフリーランスでメディアやAIの新規事業プロデュースなど多岐にご活躍されている河上純二さん(現スーパーフリーランス)と、
当メディア監修の経営のプロ辻本英一先生(元スーパーサラリーマン)の対談で、若者の道しるべについて語って頂きました。
(ライター・編集長 鳥巣愛佳

70年代と90年代、現在で変わらないもの

元スーパサラリーマンの辻本先生と、現スーパーフリーランスの河上さん。2人が就職した当時を振り返って頂きました。

河上さん
僕が社会人になったのが1994年でした。百貨店に勤務しながら今でいうパラレルワーク的に、2004年に麻布にカフェバーを仲間とオープンしたんです。ちょうどmixiやグリーが日本で立ち上がったSNS元年の時期で、リアルな交流スペースを作ると尚更、社外での人脈や繋がりの大事さに気づいたんです。
辻本先生
僕らの就職した70年代は、ちょうど高度経済成長期でですね。就職した会社は自然に大きくなっていったんです。大手に入社したら、そこを辞めて転職しようという発想はない時代でした。
河上さん
今や大問題のパワハラは僕の時代もありましたね〜。かなりしごかれていました(笑)
辻本先生
僕も銀行員でしたが、人付き合いの必須科目というのがありまして…。
河上さん
必須科目?ですか?
辻本先生
麻雀とゴルフです。

河上さん
面白すぎます(笑)
辻本先生
単独では悪戦苦闘するような問題でも、社内でいろんな部署の人たちと知り合うことも多かったことから、、そういった出会いのお陰で知恵を授かりスムーズにいくこともあったんです。なんと言って遊びの仲間ですからね。
河上さん
いつの時代もそこは変わらないですね。人が裏切ることは滅多にないから、とりあえず人脈はあった方が結果的にハッピーだと思っています。当時、僕が転職するのにも人脈が生きてくれましたからね。
辻本先生
終身雇用と年功序列制度は日本の特徴と言われていますが、終身雇用は実はアメリカの方が比率は高かったのです。日本は大企業だけが終身雇用、年功序列制度を守っているのですよね。今ではシリコンバレーに見られるように、どんどん新しくフラットな会社が出来ています。日本もさらに変化に対応していくことが求められる時代なのです。

河上純二さんプロフィール1994年株式会社丸井入社。その後映像クリエイター・VJ活動を経て、1997年よりGateway Japan,PCCW Japanなど外資系企業にて新規WEBサービスの立ち上げにプロデューサーとして参画。その後株式会社USENにて新規インターネットビジネスの立ち上げ及びインターネット事業部門責任者に従事。株式会社medibaにて新規モバイル事業立ち上げ責任者を経て、2011年8月から株式会社D2Cでコンシューマ事業部門長に従事。2004年~2016年には、社外で共同オーナー制を用いたコミュニティー飲食店麻布十番「ギャラリーカフェバー縁縁」を経営。現在は株式会社D2Cを退社後、AI(人工知能)のスタートアップMIKAKU INC代表、ワインビジネスのスタートアップBUDOU Inc取締役、社団法人スマートデバイスアプリ開発技術認定普及評議会理事、B2Bインフルエンサー、メディア特化の事業投資・アクセラレータ「MediaAccelerator」のメンター、イタリアンレストラン「Osteria dieci」オーナー。あわせて、スタートアップ・ベンチャーを中心に企業の顧問・アドバイザーとして6社ほど経営に参画しIT業界の発展に従事。現在10種類のビジネスに携わる。中央大学法学部政治学科卒業。デジタルハリウッド本科クリエイティブ科卒業。

過去から読み解く今。20代のITとの関わり方

河上さん
辻本さんから見て、今の若い世代はどんな状況下に置かれているのでしょうか?
辻本先生
僕は経済と文化の80年周期の波(※)が、もう近くまで来ていると思っています。70数年前に戦争に負けて、日本の伝統文化を否定してしまった状況がありました。その時も先行きどうなるか不透明な不安を感じた時代だったのです。
※80年周期で経済や文化の波が大きく変動すること。詳細はこちらの記事
河上さん
80年前と今で雰囲気が似ているということですね。先行き不透明な中で、今の若い人たちは今後この波と戦っていかなければならないのですね。
辻本先生
昔と比べて、経済的にも物質的にも恵まれた時代に生きているかもしれないですが、少子高齢化の問題もそうですし、AIやITで職がなくなると言われていたり、今の若者が悩む気持ちもわかります。
河上さん
確かに、言われてみるとネガティブな材料は多いですね。日本国民の幸福度が低いのにはこういった波も関係しているのかもしれません。AIやITの進歩で若い世代はより生き方の選択肢が広がったと同時に、新時代とどう向き合うかが問われています。
辻本先生
選択肢は多いけど、どれが成功するかわからない状況になっていますね。いつの時代も、何かを選んだらそれが成功するまでやり遂げるしかないというのは真実なので、自分のスタイルをもつことが、より大事になってきます。
河上さん
昔はセルフブランディングなんて言葉もなくて、自己表現のあり方も変わってきましたね。雇用の減少などはAIやITの発達によって、ネガティブに捉えられることも多いのですが、やらなくていい仕事が増えた時こそ、人はもっとクリエイティブになれると思うのです。総クリエイター時代になる日がワクワクしますね。物の捉え方次第で、どんどんポジティブに変わっていきそうです。

フランスで大企業に就職は時代遅れ!? 2人が語る日本の未来


河上さん
辻本さんはいつから、日本の未来に目を向けらてるようになられたのですか?
辻本先生
孫が生まれてからですね。自分の子供の未来よりも、もっと先を生きる孫が生まれると、世界はどうなっていくんだろうと将来について考えることは増えました。
河上さん
一気に世代を感じました(笑)
辻本先生
日本のように経済が発展した国は精神も発展させないと、ギャップが生まれてしまいます。実はフランスでは大企業の殆どが国営企業なのです。個人主義が発達しているので、結果として中小企業の方が数多くあるのですよね。
河上さん
へー!そうなのですね!
辻本先生
経済が発達したらみんな、中小企業の方がパワーをもつようになるんですよ。アメリカだって経済のリーダーは、シリコンバレー出身者が多いですね。日本は経済こそ発展したのですが、それにあぐらをかき、精神が追いついていかないのです。
河上さん
確かに、大手企業に安定を求めるのは今は違うと思います。僕もサラリーマンや起業経験を経て、昨年12月からフリーランスになり名刺を12枚ほど持って活動していますが、企業に籍を置かなくても、自分の行動次第で仕事はできるものだと思います。
辻本先生
大手企業で安泰というのは我々の時代ですね。今注目を浴びている著名人はみんな自分で行動しています。エステの第一線で活動されている、たかの友梨さんも20歳くらいで一人で渡仏したそうです。興味と行動力がある人は、求めていることが違いますよね。そんな人たちが浪漫を抱き、未来を作っていくのだと思っています。
河上さん
目的があって大手企業に務めることはいいですが、自分の軸もなく大手企業を選ぶのは逆にリスクですね。夢とチャレンジ精神はどんな環境でも持っておいた方がいいです。道を外れたらもう戻れないというような恐怖概念がありますが、それは間違っています。

資源を活かせない日本人「AIやIT・地方・水の可能性」

河上さん
しかしながらAIやITの発展で若者は、一気にチャレンジしやすくなりましたよね。僕の頃は「学生起業家」というワードすらなかったのですが、羨ましい環境だと思います。
辻本先生
かの松下幸之助さんだって10歳で丁稚奉公し、10代で起業していましたからね。他にはシャープの創業者である早川徳次さんも、松下幸之助さんと似たような起業家でした。100年前の明治や大正時代ですら、年齢に関係なく若い起業家がいたわけです。挑戦は若いに越したことはないですね。
河上さん
最近まだ若いスタートアップの代表が「ソーシャル企業(※)になりたい」と言っていたことに感動しました。混沌としたビジネス競争が起きている中、若い人たちのそのような視点に、心が洗われましたね。僕も、もっと面白い視点でビジネスをやっていけたらと思いますね。
※ソーシャル企業:世界基準で社会的貢献度の高い事業を行う会社
辻本先生
日本は資産を活かし切れていないところが多いにあります。AIやITの他には「地方創生」がキーワードでしょうか。
河上さん
それこそAIやITの発展を活かせば、東京の一極集中もなくなりますね。リモートで仕事ができるようになり、無駄な会議もなくなります。
辻本先生
今や地方に移住することで幸せになっている人の話もよく聞くようになりました。父島母島などの離島に行く人も増えてきましたね。災害の心配もある中、東京一極集中は経済的にもマイナスになってしまいます。ITを使って地方に視点を向けるのは、ストレスフリーかつ効率的な生き方ですね。

河上さん
AIやITの発展以外に、マインドの成熟が日本の課題なのですね。
辻本先生
他には、水がキーワードだと思います。島国で資源が少なく閉鎖的だというネガティブな面だけがクローズアップされていますが、逆にこれは大きな可能性を秘めているのではないかと。
河上さん
具体的にはどんな活用方法ですか?
辻本先生
ヨットやクルーザーの文化を作るのは面白そうですね。四方を海に囲まれた日本及び日本人には、海は大きな資源です。例えば日本と似た島国のイギリスでは、日本でいう中堅以上のサラリーマンは、家を持った次にクルーザーを持とうとします。車よりももっと高価なので経済は潤いますよね。
河上さん
面白すぎますね!その視点はなかったです。
辻本先生
日本の瀬戸内海はかなりいい海なんです。大型船の航行を除けば、世界有数の安全な海域ですしね。
河上さん
ヨットやクルーザービジネス、とても面白そうでワクワクしてきました。

いつの時代も強いのは人脈を生かしてマルチに活動できる人

辻本先生
人手不足と言われていますが、あれも人の資源を活かせていないだけなんですよ。優秀な人材はいっぱい眠っているんです。
河上さん
最近、堀江貴文さんが言っているような多動力は、まさにその通りだと思います。何をしたらいいのかわからない時ほど、10年後に役に立つ人脈をいま作っておいて欲しいですね。少なくとも40代の僕はあの頃の自分に支えられています。人脈があれば、価値観は無限に広がります。色んな情報は人を伝って得られるものなのですよ。
辻本先生
明治時代よりも前は、農民出身であっても能力次第では武士になれたのです。能力が高く、汎用性に優れた人間が重宝されていたのです。
河上さん
先ほど先生が仰っていた80年周期で変化が問われる今こそ、色んなことにチャレンジできる人の将来はとても楽しみです。
辻本先生
いつだって時代をいい風に変えてきたのは、自分の信念を貫いてきた人ですね。いつの時代も、明日を担う頭脳明晰な人はいます。そういう人たちの知識や発想を学び、私たちそれぞれの努力によって日本がより良い方向に変わっていくのが楽しみです。
(ライター・編集長 鳥巣愛佳

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ASSIST編集長。早稲田大学商学部卒、競技エアロビックはじめダンス歴17年の経験を生かし4~90歳の運動指導に従事。女性のためのヘルシービューティをプロデュース。 2014年インターナショナルエアロビックチャンピオンシップ日本代表。 2015年学生エアロビック選手権優勝。 フィットネスウエアブランド「CLAP」ライダー。 複数のウェブメディアを立ち上げ13億円のメディア売却事業にも携わる。