もし自分の両親が亡くなったら、貯金や家や土地などの財産はどうなる?
そんな「もしも」の時を考えるのは気が重いけど、遺言書さえあれば、もめないんじゃないかな?そうだ、早めに両親に遺言書を書いてもらえば安心!
実は、遺産相続では
遺言書があっても、もめるケースが多いのだそうです。
両親が財産をしっかりと分配してくれていると思っていても、価値のないものだったら…….そんな時のために財産の価値を可視化し「もめない分け方」をサポートしている会社が沖縄にあるのだそう。
今回東京に出張されていたタイミングで、株式会社シナジープラス亀島 淳一社長に「もめずに財産を分ける準備」がどれほど大切なことなのかを、お話いただきました。
亀島 淳一 (かめしまじゅんいち)
シナジープラスグループ 代表
沖縄県嘉手納町出身、身内で起きた相続問題に心を痛めたことをきっかけに相続の世界に飛び込む。それまで節税一辺倒だった各業界の相続対策に疑問を抱き、勉強と実践を重ねる中で「もめない相続」のための独自のメソッドを確立。
遺言書があっても、もめるのはなぜ?相続の落とし穴
相続では遺言書があっても、もめてしまうケースがあるとのことですが、具体的にどんなことで、もめるんですか?
特にもめるのが不動産です。一般的には固定資産税の評価額から価値を考えて、分け方を決める人が多いと思います。しかしながらここが落とし穴で……固定資産税評価額の大きさと、その不動産が実際にどう収入につながるかは、必ずしもリンクしてないんですよね。価値の大きいものをもらったつもりでも、実は全然収益を生まないのに税金ばかり払ってるとか……
そもそもの財産の価値を、正しく把握されていなかったのですね。
不動産については、将来の価値の変化をどう予測するかも重要です。他にも、受け取る側の家族環境が関係したりもします。仮に同じような価値の財産を受け取ったとしても、家族の人数が大きく違うと片方は財産を持て余して、片方は生活に苦しんでるとか。
人数以外にも家計に及ぼす影響は様々な要因があります。平等に分けたは良いけど、受け取った側の家族の状況次第では決して公平とは言えなかったりもするんです。
一方が夫婦2人、自分が5人家族とかだったら「うちの方が家計苦しいのに、もっとほしい!」って思ってしまいます。
そうですよね。これが、もめる原因になってしまうんです。
他にも、そもそも分け方が偏っていたり、税法と民法の違いが十分に考慮されていなかったり、もめる遺言書にも色々あります。
遺言書があれば安心なイメージがあったのですが、完璧ではないことがわかりました。私も実家の財産のこと、何も知らないなあ……
財産の価値とそこにかかる相続税も把握して、さらに家族構成まで配慮して分け方を決めるってのは、かなり難しいことなんですよ。
身内を助けられなかった過去「もめない相続」へのこだわり
亀島社長が相続でもめてしまう問題をなんとかしたいと思ったのは、どのようなきっかけですか?
もともと自分が金融業界にいて相続に触れていたにも関わらず、親の世代のもめごとを目の当たりにしてしまって……何もできなかったんです。相続に関して知った気になっていたことに気づいて、非常にショックでした。幸せに財産を分けるのって難しいんだと感じました。
一般的な金融の知識だけでは、解決できなかったんですね。
そこから相続について、ひたすら勉強しました。これまで感覚的に決められていた相続をもっと可視化させて、もめない分け方をサポートできるようにならねばと思ったんです。沖縄では十分に学ぶことができなかったので、東京を中心に200回以上の出張にもいきました。
時間もコストも半端じゃないですね。相続だと資産の種類もたくさんでしょうし……
相続を根本から学ぼうとすると、こんなにも幅広い学びが必要なんだと感じました。その結果、税務、法務、不動産などを多面的に分析し、2代・3代先までを見据えた計画を提案できるようになったんです。
節税も運用も資産を可視化させてから考えるべき
相続と聞くと、保険や証券の営業担当がコンサルティングしてるイメージですが、それとは違うんですか?
違います。保険は節税のために行う提案で、証券は資産運用になります。どちらも必要ですが、まずは一つ一つの資産の本当の価値を知ることが大切です。
「正直、営業マンは自社の商品を売ることが仕事なので他の商材のことは知らないですし、ベストな提案をしてもらえるとは限らないです。」
自社の商材の理解はあっても、トータルでベストな選択かどうかはわからないんですね。
不動産などの資産は、さらに難しいんですよ。一般的には税金を基準に分け方を考えます。しかしそれ以外で、収益性や流動性、将来性なども分析しないと、本当の価値がわからないんです。すべてを可視化させてから節税や運用を考えるのが、正しい相続のあり方だと思ってます。
すべての資産の現状が可視化されてないまま節税や運用をしていて、もっと適切なものがあったと後から知ることも多いんですね。これまでに、財産をすべて可視化させてから相続の分け方を支援する、似たようなサービスはなかったんですか?
財産の可視化をどう捉えるかにもよるのですが、自分が知る限りでは、まだ見つかってないですね。いくつかの分野を横断的に学ばなければなりませんし、分け方のサポートは本当に骨が折れる仕事なので、誰もやらないんじゃないかと思っています。そこまでしなくても、目先の相続税の計算や節税だけでも十分商売になりますしね。
「なんとかしなければ」もめないニーズはこども世代
沖縄を中心に年に130~140件の相談を受けてらっしゃるとのことですが、どんな方が相談に来られるんですか?
財産を分けられる立場である、50~60代が多いです。
分ける立場だと逆に「もめないだろう」という過信が大きい印象です。分けられる立場はもめたくないので、危機感をもってる方が多いですね。最近は30代くらいの若い世代でも、親がもめている姿をみて「なんとかしなければ」と思ってる方もいらっしゃいます。
たしかに、うちも先日おばあちゃんが亡くなって、財産の話を両親と両親の兄弟がしていました。いつか自分もこういう話をする立場になるんだなと、ぼんやり思っていたんです。
若い頃からそういった意識があるのは、とてもいいことですね。十分に準備しないまま相続が起きてしまうと問題に繋がりやすいので、若い世代であっても自分ごととして考えていただきたいです。
沖縄から全国へ。もめない相続で幸せを
相続といわれると相談する立場としても、なんだか目を背けたくなる話ですが……問題意識をブラさずにやり続けるのはすごいエネルギーですね。最初はどのようにコンサルティングをはじめたんですか?
最初は証券会社や不動産会社に務めていた頃の繋がりから、仕事をいただきました。そこからセミナーを頻繁に行ったりして、新聞などにも掲載いただいたんです。
沖縄を中心に、多くの方に届くようになったんですね。
ひとりで始めた事業が多くの方に届いて、沖縄以外からうちの社員になってくれる仲間もいて…….ありがたいですね。うちのコンサルを受けた方が「こどもを入社させてくれないか」と仰ってくださることもありました。
これから事業を全国に展開するために仲間も増やしていきます。僕のように通常の金融商品の営業に疑問を持って、本質的なサポートをしたいと思ってる営業マンは、きっとたくさんいるはずです。そんな人たちに一緒に働きたいと声かけてもらえるように、活動していきます。
「地方にもこんな思いを持って仕事してる人がいることを、知ってもらえたら」と話されていた亀島社長。沖縄から全国を目指す道のりはいま始まったばかりですが、亀島社長の想いはきっと多くの方に届いていくのでしょう。
いつ何が起こるかわからないからこそ「もしも」の時に何をどうするのか、自分も考えなければと思いました。ありがとうございました!
亀島 淳一 (かめしまじゅんいち)
シナジープラスグループ 代表
沖縄県嘉手納町出身、身内で起きた相続問題に心を痛めたことをきっかけに相続の世界に飛び込む。それまで節税一辺倒だった各業界の相続対策に疑問を抱き、勉強と実践を重ねる中で「もめない相続」のための独自のメソッドを確立。