経営者鳥巣愛佳/とりっすー
広告費0円、たった1年で年商3億のフルーツ専門ECサイト「肥後庵」代表の人生を変えるマーケティングとは
2017年、日本のインターネット広告費は1.5兆円との発表がありました。
今やネット広告は広告費全体のおよそ1/4を占めると言われています。(電通調べ)
そんな中、広告費を一切かけずに年間で3億円の売り上げを出したECサイトを運営している方がいました。
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表、黒坂岳央さん()
5年間ニート&フリーターだった過去から躍進した、人生を変えるマーケティングとは。
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表 黒坂岳央さん
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。ブログや大手メディアでも情報発信中。
高級果物ギフト専門店「肥後庵」
【主な執筆】
富良野メロン除草剤事件は犯人の意図とは逆の結果になる(アゴラ言論プラットフォーム)
日本の損失220億円!韓国のイチゴ泥棒の真犯人(プレジデント2018年2月12日号)
ブログや執筆されてるメディアではインテリで厳かなイメージだったのですが、今日はラフな感じですね!
もともと外資にいたのもあって、実は結構ラフなんですよ〜!
なるほど!外資ではどんな仕事をされていたんですか?
響きだけでも難しそうでドキドキします(笑)ずっと前から海外での活動に注目されていたんですか?
そう、それも5年くらい。高校卒業してからだいぶフラフラしてましたね〜(笑)
ニートからの海外留学、リーマンショックの中で外資に就職
ニート・フリーターから脱却したものの、さらに波乱万丈な黒坂さんのストーリーに迫ります。
このままだとやばいと思って入った短大も23歳で入学していますからね。進学もかなり遅れていまして、なんとか海外留学って感じです。
ちょうどリーマンショックになってしまって、帰国しても職がなく苦労しました。100社くらいエントリーしても小さな会計事務所からの内定しか頂けず、最後の最後に外資のブルームバーグが決まったんですよね。「よくここまで来たね、フロンティアスピリッツがすごい」と初めて認められて、ニートから丸の内ビジネスマンになりました(笑)
外資に勤めた後に起業をしたくって、サラリーマンを7~8年やりきってから起業をしたんですよ。そしたらまたそれも失敗して。
銀座で英会話スクールや大学のセミナー講師をやりました。でも全然集客できなくって。縁があって有名なコンサルタントの方から「フルーツをやれ!」との助言があって、フルーツをやろうと決めたんです。
斜陽産業だからこそのチャンス。フルーツに踏み込んだ狙いとは
斜陽産業と呼ばれる農業。外資勤務を経て、フルーツをやるという選択をされた理由に迫ります。
フルーツとは意外な着眼点ですよね。なぜフルーツだったのでしょうか?
私の奥さんの実家が果物店をやっていて人脈があったという点がひとつ。あとは斜陽産業である農業だからこそ、ネットを駆使して一人勝ちできると勝算があったようです。
フルーツギフトのネット販売というと、楽天やアマゾンのイメージも強いように思います。勝算はそれとは違うところにあったのですか?
そうです。まずは富裕層を狙おうと思いました。そこで富裕層の方の行動パターンを調べていったんですよ。そこにある共通点があることに気づきました。実は富裕層の方は、商品レビューを見ないんです。
そうなんですか?質に敏感で厳密にレビューを見て決めているイメージでした。
富裕層がベンツに乗りたがるのは、他の富裕層がベンツを持っているからなんです。富裕層は他の富裕層が持ってるものを欲しがるんですよ。
なるほど〜。著名な方が使っているというだけで、自分も安心できるのですね。
そのためうちの「肥後庵」のサイトにはレビューを載せていません。購入実績のみ載せています。それにより、購入実績を見ることで「うちの同業他社はメロンを接待手土産に買っているのか」と他の会社やお客様も追従して購入するきっかけにしているわけです。
サイトのデザインを黒にしているのも、アマゾンや楽天で多くのショップが背景を白にしていたので、そうした多くの店舗と差別化して高級感を出すためです。大手のECサイトに出せば、売り上げがもっと伸びることもわかってはいますが、そこはターゲットをブラさないようにしていますね。逆に比較をさせないから、他に逃げることもないのです。このサイトに流入して最短2分で購入している方もいらっしゃいました。
2分!すごいですね。緻密なマーケティングに感動しています。
実際にやってみると、フルーツとネットの相性は意外に穴場でした。斜陽産業はみんなやらないですけど、それだからこそチャンスは無限にあると思っています。
戦える武器でマーケットを探す・ターゲットに比較をさせない。まさにマーケティングの塊ですね。
大手メディアで影響力を持つまでの秘密「どこで何を発信するのか」
1年で一気に売り上げを伸ばした秘密には、黒坂さん自身がインフルエンサーであることが大きい。大手ウェブメディアで数々のヒット記事を生み出し、たった1年でこれだけの影響力を持てるようになった秘密に迫ります。
うちのメディアに出て頂けるのも非常に恐縮なのですが、黒坂さんの発信力・発言力には本当に脱帽です。
それこそ最初は、ブログを毎日書いても1記事10人しか見ていなかったりして悲惨でしたよ。しかも会社員時代で300記事くらい頑張って書いたのに(笑)
本当ですか?そのコミット力もすごいですが、てっきり最初からメディアで影響力を持っていらしゃったのかと思っていました。
自分のブログに書いても全然読まれないので、大手のメディアに依頼しまくったんです。自分のサンプル記事を送ったりして、猛アタックしました。
黒坂さんの大手メディア執筆実績
・Yahooニュース 様
・アゴラ 言論プラットフォーム 様
・マネープラス 様
・ZUU online 様
・節約社長 様
もちろん最初は採用してもらえなかったですが、唯一「アゴラ」で書かせて頂くことになったのです。そしたらヤフーニュースに記事が掲載されて、その実績を持って他にもアプローチをかけると、ZUU onlineやマネープラスでも記事を書かせてもらえるようになりました。そこからテレビや雑誌にも取り上げられるようになりました。
何度かトレンドを狙って言及記事を寄稿したりして、バズも起こしましたね。ジャーナリストをしての知名度が勝手に上がっていくので、農業関係のビジネスはじめたばかりの僕が急に専門家のようなポジションになれたのはこのお陰です。
確かに農業分野でのジャーナリストと言えば、強豪が少なくて独壇場のような気がします。黒坂さんの記事は農業のみでなく、経済やキャリアについても手広く発信されているので、非常に学ぶことが多いです。
どんなにいいことを書いていても、読まれないと意味がないんです。何を書くかも重要ですが、同時にどのメディアで書くかで結果は変わってきます。
すごい。私を含め多くのライターさんのロールモデルになりそうです。そこから黒坂さん自身が影響力を持つことで、自然に「肥後庵」を宣伝できるようになったのですね。
そうですね。それが0円マーケティングの仕掛けになっています。ちなみに経費も1ヶ月1万円です(笑)
利益率めちゃめちゃいいですね…色んな方々の可能性が広がる気がしてきました。発信力と言われればブログを作ったりする人も多いですが、どこで何を書くかというのも重要視していくべきなのですね。
「人生はいつからでも変えられる」ニート経験からの年商3億、今後の展望
波乱万丈の人生から、多くの方に愛されるフルーツギフトショップの運営。黒坂さんの今後の展望とは。
斜陽産業と言われている農業も、ネットはまだまだチャンスに溢れていると思います。創業11年で蟹のネット販売で年商68億円だったり、ブルーベリーのネット販売で週休5日で年収2000万円、農園のフルーツ狩りを英語でブログに発信して外国人観光客で大賑わいになっていたりですね。
敷居が高いように思われるネットの運用ですが、可能性は未知数なのですね。最後に、黒坂さんご自身のこれまでの人生を振り返って、ASSIST読者にメッセージを頂きたいです。
「人生はいつからでも変えられる」でしょうか。どん底から23歳で短大に入り外資勤務、斜陽産業への着手…2ちゃんねるなどの批判も含めて、ネガティブな意見をことごとく無視してここまできました(笑)事業当初のコンサルタントとの出会いもそうでしたが、何に関しても遅いことはないので、ブレーキをかけずに自分の直感に従ってほしいです。知恵と行動力で人生はどうにでも変えられます。
今後は「肥後庵」をサービスを売る会社にしていきたいんですよね。フルーツとテクノロジーとかブロックチェーンで産地偽装問題を無くしたりとか、まだまだたくさんチャレンジできそうです。
フルーツとITの掛け合わせで、もっと面白いことになりそうですね。今後のご活躍も楽しみにしております!ありがとうございました!
高級果物ギフト専門店「肥後庵」
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