助産師として知ったDV・産後うつの現実。多様な働き方で女性の自立をサポートへ。千島真実子さん

資格のある職業に就くことは幸せなものだと思っていました。

まして不況でも打撃を受けない職業であればまさに一生安泰で、このご時世は特にそのような安定に憧れる人も多いのではないしょうか。

看護師はその安定な職業の代表例ですが、今回インタビューした千島さんは「看護師(助産師)だからこそ、外の世界を知って自立しなければならないんです」と話します。

助産師でありながら美容サロンスタッフ、そして性教育を伝える活動など多岐にわたって活動する、千島さんの行動のきっかけは何だったのでしょうか。


千島真実子さん(@mamiko_midwif)
埼玉県出身、27歳。2020年3月まで病棟勤務し現在は夜勤の助産師として活動。麻布十番に構える完全プライベートの美容サロン「LILLY」スタッフや、学校にて性教育を伝える活動を行う。

「看護師以外の世界って面白い」きっかけは鬼ごっこサークル

ー助産師として活動していた千島さんが、他でも行動するきっかけは何だったのですか?

もともと常に同じ人たち同士で行動するのが得意でない性格だったのですが、看護師の世界は女性が多く仲間意識が高いのか、仲のいい人たちと一緒に行動する風習が濃いんです。
看護師以外の世界を知ったのは、特に大きなきっかけがあったわけではなく、失恋のショックを埋めるために行った「鬼ごっこサークル」だったんですよね(笑)。
職業が全く違う社会人が集まって鬼ごっこをするんですが、社会人になって初めて、看護師以外の友達ができたんです。

ー鬼ごっこサークル楽しそうですね!看護師以外の方と仲良くなって、どのような発見がありましたか?

仲良くなっていくうちに悩みの相談などもし合うようになり、自分が知っている世界は、本当に狭かったんだと思いました。業種が違っても、恋愛や仕事の悩みとかは共通することが多くて、似たような問題に対してもそれぞれの視点があって面白かったです。
看護師の狭い世界だけにいたら、生きづらさ感じることがあっても逃げ場がないんですよね。居場所がそこにしかないのは、自分も苦しかったんだと感じました。自分に合ってる人は外の世界にもいっぱいいるし、心の拠り所が多くなるのは純粋にいいことだと思います。

出会いをきっかけに見つめ直した看護師の働き方

ー看護師以外の方々との出会いで、自分も行動していきたいと思うようになったんですね。

仕事に関しても看護師は体が資本の仕事なので、もしこの体が崩れたり身内に何かあった場合に収入もなくなると思うと、とても怖かったんです。いろんな方の話を聞いていると、自分もいつかはやりたいことを実現できるような事業をしたいと思うようになりました。
「こんな生き方もあるんだ」という人生の選択肢が増えると、それだけでも救われるような気がします。
ちなみに自分の周りにいる看護師たちにも「もっと外の世界を知った方がいい」と思って、そういった集まりに積極的に誘っていたんですが、私の熱量が高すぎたようで怪しまれるほどでした(笑)

ー熱意がすごい(笑)看護師が美容サロンのスタッフというのも面白いチャレンジですね。

最初から美容に興味が合ったわけではないのですが、美容サロン「LILLY」の代表の考え方や生き方に影響されて、チャレンジしたいと思ったんです。
その代表は、女性の経済的・精神的自立をモットーに美容サロンを経営されているのですが、私もそのビジョンに深く共感しました。

出産の現場は家庭のリアル、出産は100%幸せとは限らない。

ーすでに安定した看護師という仕事であっても、経済的な面をサポートしたいと思ったのは理由があったのですか?

助産師の現場は出産という輝かしい面だけでなく「家族のリアル」が顕著に現れる場所でもあるんです。出産は家族にとっても一大イベントであるにも関わらず、こどもを産む以前にDVに苦しめられていたり、奥さんに陣痛がきているのに旦那さんはゲームに夢中だったり…こどもを産むのに全然幸せじゃなさそうな家族もあったりするんですよ。信じられないですけど、事実なんです。出産は100%嬉しいものであってほしいのに、どこか幸せそうではない女性たちをみて、何かできないかと思っていました。

ーそれはちょっと衝撃ですね……出産をすることでさらにネガティブになってしまう方も多いんですか?

多いですね。妊娠してから出産までに、妊婦さん自身が出産をイメージし、どんな出産をしていくかをプラン化する「バースプラン」というものがあるのですが、それ通りにいかなかったりするとネガティブになってしまう方は多いです。自然分娩の予定が帝王切開になってしまって、自分の力で産めなかったと残念がる方がいたり、辛い痛みに叫びすぎて「こんなつもりじゃなかった」と驚いたり…産み方に対する後悔って他人が想像する以上に大きいんですよ。
そのように自己肯定感が低いまま子育てに入ると、産後うつや虐待をしてしまう可能性も十分にあり得えます。私たち助産師にできるのは、そんなお母さんたちの頑張りを認めてあげることだと思うので「今までよく大事に守ってきましたね」「赤ちゃんが元気に生まれてきたのはお母さんが頑張ったからですよ」などの声がけは意識しています。子育ては出産後の方が大事になってくるので、産み方に対して肯定的になれる人が増えればいいなと思います。

マイペースに挑戦していきたい、今後について

ー経済的・精神的自立をしたいというビジョンに共感されたのは、家庭のリアルに触れてきたからなのですね。

女性が強くいるためには「自分で稼げる」「選択肢がある」状態でいることが必要なんだと思いました。
経済的な自立があって、将来に対する選択肢があったらDVからも逃げられるし、自分の身を自分で守ることができると思うんです。だからこそ私にできることは、まずは自分が看護師以外の稼ぎ方を知って実践して伝えたり、学校での性教育やママになる人のための教育をしていくことだと思っています。自分もまだ知らないことが多いですが、一緒に寄り添いたいですね。

ー将来こうなっていたいという理想はありますか?

今は病棟勤務から夜勤のみの勤務に変えて、時間もできて自分のやりたいことを見つめる余裕ができてきました。行動すればするほど、出会う人たちが変わって知らない世界を知ることができて楽しいです。
たまに周りと比べてしまってまだまだだと落ち込むこともありますが、一緒に仕事をしている仲間に「1ヶ月前と悩みが変わっていているのは、成長してしている証拠」だと言われて、マイペースな自分も認められるようになってきました。私は人に「すごい」と思われるような特別なものはないのですが、自分のペースで、人に寄り添えるような存在でありたいと思います。


千島真実子さん(@mamiko_midwif)

埼玉県出身、27歳。2020年3月まで病棟勤務し現在は夜勤の助産師として活動。麻布十番に構える完全プライベートの美容サロン「LILLY」スタッフや、学校にて性教育を伝える活動を行う。

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ASSIST編集長

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